憶えていますか。私のこと。
あなたの前から居なくなって、もう何年になるんだろ。

私は今でも、あなたが好きです。







すれなぐさ



















薄曇の空。街が全部灰色のような錯覚を憶える。
中学生のとき、住んでいたこの場所に来るのは、もう2年ぶりだ。
高校生になってから、足を踏み入れられなかった。理由は、単純で。




離れて確信したんだ。あなたが好きだってこと。




今の高校も、それなりに楽しいけど、
やっぱりあなたと過ごした3年間が色濃くて。



ちょっとだけ、「会えたらいいな」っていう期待を胸に、氷帝学園の門をくぐる。
















「夕実ー久しぶりー」
「あー?!あーほんと久しぶりー!」


懐かしい友人。まだ2年しか経ってないのに、何でこんなに懐かしいと感じるんだろう。
…思い出にした訳じゃないのに。
でも、いいや。夕実と話せたし。今日ここに来た価値はあったな。




「珍しいヤツもいるもんだな」
「あ、跡部くんこんちは。相変わらずの様子で」
「お前もあんまり変わってないな。まーちょっとは心境に変化でもあったんだろうがよ」
「え」
「ったくバレバレなんだよ。お前らは」

そう言うと跡部はせいぜい頑張るこったな、と去っていった。



どこから話が漏れたのか、私が来ていることを聞きつけた同級生達が囲む。
その中に、私のお目当ての人は居なかった。

でもいいの。これはこれで、楽しかったんだから。






薄曇の空が、赤い光に包まれる。時刻は夕暮れ。
ああきっと、会えないんだな。私の期待は打ち砕かれたんだ、そう感じた。

たくさんの友人に別れを告げて、駅までの道程を歩く。

懐かしさと、なんだかよく分からないぐるぐるした気持ちが心に渦巻いている。
気づけば頬を涙がつたっていた。
止めようとしても、止まらなかった。



、」



聞こえないはずのあなたの声が聞こえて、さらに辛くなった。
勢いを増す涙。



「待ってって!」




いや、やっぱり聞こえるよ。
聞こえた方を振り返れば、私の身体は身動きが取れない。



「っはあ、はあ…待ってってさっきから叫んでるやん」
「……おしたり…?」
「俺以外に誰がおんねん」


後ろから抱きつかれて、頭の上で、あなたの声がする。
何故かすこし、震えた声。



、ほんまごめん」
「…っ」

なんだ、知ってたんだ。私がここへ来た理由。
そう思うと自分が空しくて、悲しくて、やりきれなくなった。抱きつかれてなければ、きっと身投げでもしてた。


「今日会うてしもたら、絶対諦められんと思ってん…でも跡部に取られるんはごめんや」
「…どういうこと?」
「ずっとずっと好きやってん。高校入っても、やっぱりのことが一番好き」
「うそ…!」







Forgot me not  (やっぱり忘れることなんて、できないよ)












「青葉〜greenery〜」の青葉様より相互記念に頂きました♪
ポイだなんてアリエナイ(ノ´▽`)ノ♪切ない、、切ない夢を頂き本当に感謝☆感激ですvv嬉しいです。
忍足兄ヤン、青葉さま大好きです!!!本当に有難う御座いました。
こちらこそ、これからも宜しくお願いしますね。